2009 年 9 月 30 日
大人になってからの金閣寺
修学旅行先が京都なら必ず行くであろう「金閣寺」。舎利殿ばかりに目を奪われがちになりますが、大人になってから金閣寺を見るならばもう少し視野を広げたいものです。
金閣を映す美しい鏡湖池をみわたすと鶴島、亀島など縁起のいい名前の島々が浮かびます。また、室町幕府の時代をときめいた権力者がこぞって岩を贈り、それぞれ細川石、畠山石、赤松石と名づけられ池に配置されています。
そもそも金閣は極楽浄土の世界観が凝縮されたものでした。
池から金閣を見あげれば阿弥陀如来像を拝め、池に映し出される2層の天井画、金閣の輝きを反射させた鶴島や亀島はそれぞれ金鶴、金亀となって輝き、舎利殿の金の鳳凰が池に舞う…
義満の時代はそんな眺めを楽しみつつ船遊びが催されていました。金閣の近くに配された夜泊石は、管弦や和歌を楽しんだ竜頭鶴首の船や酒船を停めるためのもの。月夜の下、いったいどんな宴が繰り広げられたのでしょうか。金閣の世界観を知ればこそ、いかに貴族絵巻の世界が贅沢の限りを尽くした優雅なものか思い浮かべられるでしょう。
なお、この庭園は池泉回遊式庭園です。このスタイルは大きな池を中心として周囲に園路を巡らせ、築山や池中に設けた小島、橋、名石などで各地の景勝などを再現。園路の所々には休憩所や展望所をおくのが一般的です。形式を知っておくことで他の庭園との見比べる楽しみがふえるというものです。
Filed under: なんだかんだ — nakahashi 15:31
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