もの研展示会報告:「第45回ス-パ-マ-ケット・トレ-ドショ-2011-2」
「日本の伝統野菜・菜発見」
これは特に私が気になったブ-ス名。
主催者側の展示のようで、東2ホ-ル中央に大きく展開され、
日本古来から栽培される各地域の伝統野菜を紹介していました。
江戸東京野菜をはじめ、福島・栃木・茨城・山形・福井・
滋賀・岐阜・高知・愛媛・大分・沖縄の各県の伝統野菜が
展示されています。
「伝統野菜ってなに?」と思われる方が多いかもしれません。
現代社会は生産・物流が高度に発達し、
ス-パ-や百貨店では輸入物に限らず国産物も
大量に安く均一の品質で販売出来る野菜が主体となっています。
各地域だけに作り伝えられてきた
伝統の「在来作物」が消えつつあります。
例えば「江戸東京野菜」では、
亀戸大根・練馬大根・のらぼう菜・滝野川ごぼう・
品川かぶ・東京うど等約15種類もあります。
それぞれ形も味も違い、さらに個々の野菜で地域の歴史が
語り伝えられてきました。
例えば「練馬大根」は、江戸時代に第五代将軍の徳川綱吉が
栽培を命じたと伝えられ、沢庵に最適です。
「のらぼう菜」は天明・天保の飢饉の時に多くの人命を
救ったと言われています。
今、こうした各地域の伝統野菜は、作り手の農家も減少しつつあり、
栽培している所に直接行かないと買うことができません。
極めて少量生産で値段も高く、
高級料亭や高級レストランの食材になっているのが現状のようです。
「伝統の在来作物はこれで良いのだろうか、何とかならないものか?」
という提案です。胸を締め付けられるような気持ちになりました。
しかし、これを前向きにとらえて、品川では地元の「東京長カブ」を
「品川カブ」と名付けて地元の町おこしに約立てています。
細長い小さな大根のような形です。会場でこの「品川カブ」の
漬け物を試食してみました。
少しピリッと辛みのあるカブで、ご飯の友にはピッタリ。
お酒のつまみにも最適な味でした。
お値段は、各地の生産で異なるため、提示してありませんでした。
なかなか、考えさせられる内容の提案でした。
主任研究員 荒木隆一
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