【特派員レポートVol.9】「黄金の焼き海苔」
年賀はがきの発売が始まり、もう年末かと思うこのごろです。
さて、めでたいお正月にふさわしいひとつに、金がありますが、面白い技術をもった企業があるので今回はそちらを紹介しましょう。
それは先日ビッグサイトで開催された「真空展」で出会ったアルバックヒュ-マンリレ-ションズ㈱さん。本来は真空蒸着する機械の製造業なのですが、新しい用途開発の一例として、試作してみたというのがこの「黄金の焼き海苔」。
なんと焼き海苔の片面が全部金箔状に覆われてなんともゴージャスな海苔なのです。
家紋が大きく入り金色に輝いている海苔、黄金の海苔巻きなど、見ているだけでなんだかおめでたい気分になってくるから不思議。
私は以前金沢での商談会で金箔会社の金箔を作る作業を見学したことがあり、はじめ見たときはこれも金箔を貼り合わせたものかと思いました。しかし貼り合わせ具合がどうも見事で、滑らかさが違うと思っていたら…
やはりそこが真空蒸着の力。クリ-ンな真空中で焼き海苔の片面に金箔と同じように純金を吹き付けて作るのだそう。
そもそも真空蒸着処理は、医薬品やレトルト食品、スナック菓子といった包装材料の内面に利用されている薄膜処理技術。それゆえ衛生面で問題はまったくなく、この「黄金の焼きのり」も通常の食品用焼き海苔として食べることができます。
たいてい金を食品に使うとすれば、金箔の細かくしたものを正月用の日本酒や料理のトッピングなどに使っていたりするくらい。これほどまでに大きく見事に使ったものは見たことがなく、実にインパクトがありました。
たとえば新年のごちそう、還暦の祝いの御膳、宴会料理に使って友人をビックリさせる、結婚式・入学式などの縁起もの…こんな時に黄金シリーズがあったらいいなと、楽しい場面がいろいろ思い浮かんだものです。いっそタイムマシンに乗って、黄金が大好きだった太閤秀吉に、この黄金焼き海苔を献上したら、さぞ喜ばれるだろう、出世できたかもしれませんね。
ものづくり研究所 主任研究員 荒木隆一
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