第2回市民フォーラム「 目黒の森探索会」
2011年5月14日(土)、目黒の森「自然教育園」において、「目黒の森探索会」が開講されました。会場の「自然教育園」は、正しくは「国立博物館付属自然教育園」と呼ばれ、6万坪の広さで、武蔵野植物園や広い池には水性植物園もあり、四季を通じ自然を楽しめる所です。五百年前からの自然林で、中世の豪族の館・高松藩主・松平様の下屋敷・白銀御領地と歴史を重ね、民衆は立ち入る事が出来なかったため、奇跡的に自然のままの森として残った所です。山手線目黒駅下車、徒歩約7分。さてこの会合は、地域交流センタ-「森の駅推進協議会」の主催で、その市民フォ-ラムの5月例会です。前回は昨秋「明治神宮の杜探索会」を開催して盛況でした。「森の駅推進協議会」は、日本の森を元気にするための市民活動で、森の現状を知り、何をすれば良いか考え様々な活動を展開しています。
第1部 探索会「自然の森の草や花の観察」観察会はそれぞれ3グル―プに別れて、植物専門の登録ボランテアのガイドさんの解説で、わかりやすく、花や草木を観察しながら園内を観察して廻りました。ふだんなにげなく見ているヤマボウシ・カキツバタなどの草木や花も、解説を聞きながらひとつひとつ見ていくととても楽しく理解できます。自然教育園は、江戸時代からの庭園であった事から、土塁の山・巨大な黒松・広い池には亀が泳いでいたりして、昔の由緒ある庭園の名残りがところどころに感じられました。あっという間に探索会の1時間半が過ぎてしまいました。
第2部 講座「植物と昆虫の共生について」・「日本の森の再生に必要なもの」
講師:東京都立大学名誉教授、理学博士、石川良輔教授。教授は昆虫学の権威、昆虫博士です。今回のテ-マはとても大きいので、本来なら1週間は連続講義する内容ですが短時間の講演なので代表的な蜂の生態を取り上げて講演されました。講演では、単に蜂だけでなく土の中にいる虫の図解や昆虫の標本を見せてくれ、花粉の交配をするミツバチや毛虫なども大切な森林の生物であり、自然の生態系の素晴らしい循環サイクルで廻っている事を、興味深く覗き見る事が出来ました。まさに生物多様性ですね。講演の後「市民フォ-ラム」の各幹事の方々のお話、最後に代表、岡本守生氏の挨拶で終了致しましたが、福島原発の放射能の問題以前に、日常の農業の農薬問題やゴルフ場の除草剤で周辺には昆虫がいなくなっている講義を聞き、いわば人間のエゴで虫や昆虫がいなくなり、ひいては大自然の生態系を破壊している現実。「森林」と言っても、草花や虫・鳥・動物の生態系があり、人はどのように関わり合いを持てば良いのか、大きな課題である事を気づかされました。 自分の故郷や住んでいる町を観察してみてはいかがでしょうか。
主任研究員 荒木隆一