特派員報告:い草ロ-ルの畳ベンチ
「インテリアライフスタイルTOKYO」が6月6日(水)~8日(金)、
東京ビッグサイトにて、大々的に開催されました。
この展示会は、ライフスタイルを提案する、インテリア・
デザイン市場のための国際見本市です。
今回、中小機構の出展している「日本匠技」は、今も引き継
がれる日本の伝統の匠の技が生んだプロダクト製品を
「NIPPON DESIGN/日本匠技」のテ―マの元に、この会場に
集めました。
今回は特に、東日本大震災の痛手から立ち上がる、東北の
10社の企業が参加していました。
とりわけ目立ったのは、山形県寒河江の「畳屋道場」の新企画、
い草ロ-ルの畳ベンチです。
短いい草だけを使い、それを丸めたロ-ルの畳です。ロ-ル
状なので、板状の堅いものではないので、体操に使うマット
のように大きく湾曲します。
出店者の方にお聞きしました。
国産の畳表の生産地は、九州熊本県八代市で、全国の畳表の
95%以上を生産しています。
平成一年には、約5,800軒あったい草農家は、平成24年には
中国産に押され、約600軒に減りました。極めて深刻な状況です。
「畳屋道場」では、い草の本場熊本で栽培されたい草の内、
丈の短いい草のみを集めて丸め、い草のロ-ル状のものを、
マットのように並べた新製品を企画考案しました。
丁度、人が腰かけたり、横になっても背中に当たり、適度な
指圧感覚で気持が良い、マッサ-ジと同様な刺激を得られる、
との話です。本物のい草なので、ハ―ブに似た香りでリラッ
クスします。価格は、只今検討中との事でした。
私は、本場熊本のい草を使い、従来の畳の製造だけでなく、
新企画の畳への挑戦に打ち込む姿勢に感動しました。
暮らしがフローリングなど欧米化している環境下、
海外品と価格で競争優位性が発揮できていない分、どんな
付加価値で差別化するかだと思います。頑張って欲しいです。
風薫るい草のロ―ル敷きにけり 荒木春雪子
主任研究員 荒木隆一