【特派員レポートVol.3】郷土の味を守り続けて250年
各地の物産展を訪ねるのも特派員の仕事のひとつ。
今回は岐阜の物産展に行ったときのあるできごとを紹介しましょう。
それは大垣の槌谷本舗(つちやほんぽ)の柿ようかんを見たときのこと。
商品を見て思わずハッと釘付けになってしまいました。
というのも、そのパッケージデザインこそ私がまだ20代の頃に関わったものがそのままだったのですから。
当時私はパッケ-ジのデザインスタジオに勤務していました。かの有名な木村勝氏のパッケ-ジングディレクションのもと、会社のロゴデザインから商品の竹の包み・栞・包装紙、そして宣伝のポスタ-・新聞広告までデザイン制作をしていたのです。
竹そのものの容器は日本の伝統包装で、江戸時代から続く優れた包装です。当時はこのデザイン制作にあたり、会社のスタッフが集まって大垣にある槌谷本舗に伺い、工場見学をさせていただいたものです。懐かしく思うのと同時に、今も孟宗竹の中に練り込んだ柿を流し込んで固めて、柿ようかんとして売っていることに深い感慨を覚えました。
槌谷本舗は創業250年とその歴史は古く、宝暦五年(1755年)美濃の国大垣城下町に誕生したものです。由来は四代目の当主、右助が「堂上蜂屋柿」の濃い甘さに注目、
柿ようかんにすることを考案したとされています。
私たちが出会ってから数十年たった今でも、変わらず竹の容器と包装デザインを使われています。そしてなにより大切に郷土の味を守り、その味が次の世代へと受け継がれているのですから。
“ものづくりは人のつながり”であると考えさせられる、深く頭が下がるできごとでした。
特派員 荒木隆一
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