もの研展示会情報:「第24回東京ビジネスサミット2010」

9月2日(木)~3日(金):ビッグサイト

土佐の山奥で育まれる、幻の醗酵茶=「碁石茶」

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この展示会は、中小企業経営者の為のビジネスマッチングイベント。
経営システム分野、一般商品分野、食品分野、中国海外貿易分野と
4つに分かれ、他の展示会にはあまり出展していないような
企業の多いことが特長です。

食品分野では、思いがけなく私の気にしている
「碁石茶」が大きく展示されていました。
試飲してみると、ウ-ロン茶に酸味を利かせたような味わいです。
出展者の方にたずねてみました。

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「酸味の正体は乳酸。お茶に乳酸とは不思議な組み合わせですが、「後醗酵」と言われる独特な製法から生まれます。
大豊は土佐の山奥、吉野川上流の険しい山肌で栽培した茶を6・7月中旬に枝ごと刈り取り、大型の桶で醗酵させた後、茶葉のみをむしろを敷いた土間に積み上げ数日間放っておきます。すると、土間に住みつくカビが働いて、茶葉を発酵させてくれます。その後、茶葉を再び数週間漬け込むことで第二弾の醗酵が行われ、乳酸の量が増加します。茶葉を取り出したら3cm角に包丁で切り、真夏の最も暑い日を選んで天日干しを行います。 完全に乾燥させて保存性を高めます」

「碁石茶」と呼ぶ所以は、昔は茶葉を丸めて並べて干したので、
遠くから見るとそれが碁石が並んでいるように見えたことによるようです。

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ル-ツは中国の雲南省の酸茶。江戸時代後期から明治時代には地域特産物の顔に。
しかし昭和後半にもなると大豊も過疎化と高齢化が進み、生産者数が激減。
わずか一軒のみとなりました。
あわや、風前の灯! そこに、突如追い風。近年の健康ブ-ムです。
マスコミで話題となり、一躍地元の人気健康茶となりました。
今や生産農家は七軒に増え、大豊町碁石茶生産組合もできたということです。

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ところで、一躍注目されるお茶となったのには、それなりの理由があります。
ダイエット・便秘・腸内活性(整調作用)・老化防止などに良いといわれ、
乳酸菌による腸の働きの活性には即効性があります。
醗酵食品の権威、東京農業大学の小泉武夫教授もこの発酵茶を勧めています。

私は四百年もの伝統ある幻の「碁石茶」が、とだえる事なく復興し、
若い人達も地元に戻ってきて手伝うようになり、
立派に「大豊の町おこし」になってきた事実にとても嬉しく思いました。

●碁石茶(50g)=¥2,940 ●秘宝の三年物碁石茶・桐箱入(50g)=¥4,725 ●碁石茶飴=¥300

主任研究員 荒木隆一

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もの研展示会情報:「グッドデザインエキスポ2010」

8/27(金)~29(土):ビッグサイト

「地産地葬」 間伐材の新提案=長野県塩尻市より

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「グッドデザインエキスポ2010」とは、過去一年間に全国で発売された、
あらゆる分野のグッドデザイン商品を集めた日本最大規模のデザインEXPO。
その数は約3,000点にものぼります。

各企業の商品・製品の企画開発からデザインに携わってきた人々が、
これまでに重ねて来た努力の成果を発表・評価し合い賞賛する展示会です。

地域からの分野もあり、そこで「地産地葬」というパネルに出会いました。
説明を読めば「地産地葬」=ふるさとの自然に包まれながら、いのちを還す。
つまり、故郷の間伐材の集成材を作り、故人を故郷の樹に包んで
魂を自然に還すというのです。

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これは長野県塩尻市の「地域木材活用ビジネス創出協議会」が試みる、
間伐材を使った棺桶の新提案作品です。

落葉松と桧を使って集成材の分厚い板を作り、表・裏を斜めに角溝を入れて削った
ユ二-クな板です。特に落葉松は線上の模様が美しく、 かなり固定的なデザイン。
そして棺の中には、井草を畳状に敷いてありました。

でも間伐材の集成材に、なぜわざわざ斜めの角溝を表面・裏面共に
彫り込んだのでしょうか……たずねてみると、

棺桶で大切な要素は「短時間で燃える」「素人が持てる軽さ」「丈夫さ」。
しかし間伐材は加工上の制約が多く、さまざまに工夫・ 改良して行き着いた結論が
「角溝の彫り込み」でした。そのままではとても重い集成材を、彫る事で軽量化して、
見た目の美しさと、棺の機能を両立。
ただし、地元の間伐材を使って集成材を作り、
更に角溝を地元の職人が彫り込む為、かなり高い原価になってしまうようです。

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私は、集成材の板だけでも素晴らしいデザイン。
椅子・テ-ブルなどの家具初め、いろいろな生活用品や用途が
考えられると思いました。
出展者の方も棺桶だけでなく、これからこの集成材をどの分野に
活用していくかを検討している話でした。

●落葉松の棺桶=約10万円 ●桧の棺桶=約30万円

                               主任研究員 荒木隆一

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もの研特派員報告:「新潟漆器・竹塗」

8月17日(火)~20日(金)まで日本橋NICOプラザにて
「越後民芸家具と新潟漆器・竹塗」が開催されました。
NICOプラザには初めての出展です。

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新潟の伝統工芸「竹塗」の数々。座卓・卓袱台・椅子・酒器セット・箸箱等が並び、
明治・大正時代を思わせるような、渋さと落ち着きがあります。
私は竹を使った漆器と思って見ていましたが、
出品者の北日本工芸(株)のお話しを聞けば全く竹は使っていないとか。
「竹塗」とは竹に塗装したものでなく、漆で木地の上に竹の節模様に盛り上げ、
あたかも竹を貼ったかのように見せる変わり塗りの漆器なのだそう。

新潟港は古来より北陸の重要な港であったため、全国から文化の交流が盛んでした。
塗の技術も盛んだった春慶塗に会津塗り・輪島塗りの技術が伝わり発展したのです。
 そして江戸時代になって鞘塗師の工芸士・橋市(橋本市蔵)が刀の鞘を竹の形に作る竹塗を考案。明治時代に高弟、松州(長谷川善佐ヱ門)が伝授され、お盆・菓子器・重箱・お膳等を作ったところ、その優美さと堅牢さが世間に認められ、今日の竹塗漆器にいたったそうです。

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酒器は、なかなか味のある高級な逸品です。
普段使うのなら竹塗携帯マイ箸が、良く考えられていて 使いやすそうです。

◆蒔絵徳利=¥126,000 ◆竹塗コ-スタ-=¥5,250 ◆竹塗ぐい呑み=¥4,200  ◆手掛盆=¥31,500 ◆携帯用ケ-ス付きマイ箸=¥10,500 ◆竹塗箸=¥3,150  ※価格はすべて税込         

 竹塗の明治の香り秋の風     荒木春雪子

                                主任研究員 荒木隆一

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