もの研特派員報告: ギフトショ-にて見直した「風鈴」・「五徳」・「石州瓦」。
第72回東京インタ-ナショナル・ギフト・ショ-秋2011が、9月6日(火)~9日(金)までビッグサイトにて開催されました。
今回の出展社数は2,300社、4,000小間です。
東日本大震災・放射能の風評被害等で経済が沈下、停滞している今、今後の企業活動を再生復興の為、ギフトショ―の果たす役割は大きいものがあります。
多くの商品の中で、特に気に入った新商品を3点ご紹介します。
●日本の伝統的工芸品の特設会場にて、面白い風鈴に出会いました。
電子風鈴「りんでん」、(株)三和オ-トメ―ションの出品です。
風鈴といえば、丸い球形透明ガラスに金魚の絵、りんりんと鳴り…という情景。ただ昨今は家が隣接、うっかり風鈴も軒先に下げられない住宅環境もあります。風情の無い世の中ですね。
その点、この電子風鈴は、玄関の下駄箱の上とか、自分の机の上に置いておくと、人が近づいた時に、人感センサ―がキャッチして鳴り始めます。
「今日も一日、ご苦労さま」とでもいうような、優しい音色、これなら安心。しかも、タイマ―設定も出来ます。
風鈴の鐘の部分は有田焼。古伊万里柄から各種、藍・漆黒等、どれも深い味わいです。
風鈴を吊す台座は、落ち着いた胡桃木(くるみ)と和白木(わじろ)の2種類。
しかも、鐘の下に吊す短冊は、絵柄・歌・俳句等も各種あり、オリジナルで、自分の俳句や詩を書く事も出来ます。
◆電子風鈴りんでん 青朝(朝顔) 50,000円(税込)写真右
◆電子風鈴りんでん 山吹(金) 80,000円(税込)写真中央
◆電子風鈴りんでん 伊万里(古伊万里) 70.000円(税込)写真左
風を使わないとすると「風鈴」と呼べないかもしれませんね。「電子鈴」でしょうか…。
●同特設会場で、もう一つ懐かしい火鉢の五徳に出会いました。
獅子吼・オリジナル五徳「三徳」、シンクSISIKUアドクライス(株)の出品です。
お話を伺うと「古くから使われてきた火鉢に着目、今まで目立つ事の無かった五徳にオリジナルデザインを施しました。鍛造職人の創業者が作った五徳を元に、モダンなデザイン感覚の「三徳」に作り直した新商品です。日本の伝統的な、三つ巴・三つ輪・雷雲などをモチ-フにデザインしてあります。
子供の頃お爺ちゃんが、火鉢に暖まっていた情景を想い出しました。
◆三徳4,400円(税込)◆火鉢(木製)12,000円◆火箸・灰ならし各3,800円◆畳4,500円◆鉄瓶8,200円(参考価格)
●グルメ&ダイニングスタイルショ-の特設会場で、珍しい瓦に出会いました。
島根県石州の「直火用耐熱瓦」、石州瓦工業組合(亀屋窯業)の出品です。
瓦と言えば屋根瓦ですが、なんと「瓦の上で蕎麦を焼く」という趣向です。
私は「エッ!面白そうだけど、ザラザラして表面の粉が混じってきたないのでは…?」と思い、組合の方におたずねすると、「全く大丈夫、石州瓦は天然の釉薬を塗ってあり表面はツヤツヤ、とても頑丈で
熱で割れたりしません」という返事。
新建材の普及で、従来の屋根瓦の用途が激減、何とか新用途の開発をしなければという事で、今回新たに、会席料理用の小型直火瓦食器を開発したそうです。山口県下関市、瓦そばのたかせでは、この瓦そばを名物料理として人気になっているようです。私は、すたれゆく石州瓦の思いと共に、新規開発してグルメの世界に躍り出る石州瓦の、今後の発展を大いに期待したいものです。
◆直火用耐熱瓦 5,250円(税込)
以上の気に入った3商品は、いずれも古来、日本の生活の中で息づいて育まれてきた日常の道具です。
新しい用途を考え、デザインを直す事によって、新しい生活の道具として生まれ変わってきます。その事の大切さを学びました。
主任研究員 荒木隆一