特派員報告:佐渡朱鷺大学 第6回公開講座「朱鷺と能の島 佐渡の魅力」

七月には珍しく涼しく、冷たい雨の夕方、表参道ネスパスにて、佐渡朱鷺

大学が公開されました。

今回は、佐渡に江戸時代より伝わる郷土の伝統芸能「佐渡能」を掘り下げて、

この面から佐渡の魅力を探ってみよう、という企画です。

「佐渡能」の事はまるで知らない私は、学生になったつもりで出席しました。

第一部 「環境保全をめぐる集落と伝統芸能との関係について」

NPO法人佐渡の臼木悦生氏が講演されました。

第二部 「十戸の村の能舞台」 石川県立音楽堂プロデュ―サ―の児玉信氏

が講演されました。

最初に、日本の各地域に伝わる伝承文化の基本構想・文化財の体系・朱鷺

・そして、佐渡の能舞台の歴史、特に明治期の文化人、大町桂月の俳句を

揚げ、桂月が佐渡を訪れ「佐渡能」の舞台を見た時の様子などを、昨日の事

のように詳しく説明されました。

更に、今も佐渡能を継承されている本間家と、35の神社の地図まで用意さ

れ、地元の方々の厚い「能」への取り組みのお話がありました。児玉氏は、

まさに佐渡能の実況解説者です。

第三部 「佐渡能の魅力と交流」 観世流能楽師、重要無形文化財保持者

津村禮次郎氏が講演されました。

津村禮次郎氏は、「佐渡能」の能舞台で上演されているビデオを用い、身振

り手振りでわかりやすく解説されました。

更に驚いた事には、会場の客全員で謡の練習を行った事です。「佐渡能」の

謡本の一部を用意され、節回しの無い部分をていねいに全員で謡の練習を

行い、会場は大いに盛り上がりました。

これまで「能」は、伝統芸能の中で一番むつかしそうなものと思っていまし

たが、今回の講座を受けて、「佐渡能」は農業も朱鷺を含む自然環境も、そ

こに生活する人々の日常生活の一部であり、地元の人々の生き甲斐であり、

心の安らぎとなっている事を知りました。

鶯や十戸の村の能舞台   大町桂月

主任研究員 荒木隆一

Filed under: なんだかんだ — hojo 15:41

もの研特派員報告 佐渡朱鷺大学 第5回公開講座 「大学の環境サ-クルによる生物多様性保全活動報告」

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12月13日(火)、原宿から続く表参道は、クリスマスの光り輝くイルミネ-ション。そんな光景を見ながら、表参道ネスパス新潟に向かいました。
午後6時から、ネスパス新潟3F会議室に於いて「佐渡朱鷺大学第5回公開講座」が開講されました。
最初に、主催者の「NPO法人さど」の代表理事、北條規氏(国指定重要文化財北條家)の挨拶がありました。

■第1部 早稲田大学環境ロドリゲス他・3サ-クルの活動。
今年9月に実施した早稲田大学環境ロドリゲスを中心とした、首都圏の大学の環境サ-クルの生物多様性保全活動の報告と、これからの学生の
かかわり方についての報告がありました。一般的な常識に捕らわれず、改めて「佐渡の観光のメインを何にするか」とか、素直に「今回の活動の
反省点」まで含め、若い学生さんらしい新鮮な魅力に溢れ、鋭い問題点の指摘もありました。
続いてディスカッション。講師は、月刊「環境ビジネス」の編集部課長、織田竜輔氏が、専門家の角度の見方で、出席者の意見も聞きながら
活発なデイスカッションとなりました。

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★「丸の内佐渡特選館」のお知らせ。
2010年8月のオ―プン、丸の内の国際ビル1F、佐渡の特選品約200種類を並べるアンテナショップです。運営者側からの最近の説明とPRがありました。

■第2部 佐渡の代表的酒蔵「北雪」。「朱鷺認証米で造った本醸造酒の紹介と試飲会」。
講師は、北雪酒造、日本酒学講師の大西美香さん。大西さんは女性でありながら、酒蔵の現場を知り尽くし、日本各地から海外まで販売の仕事も
されている、日本酒の酒学のプロ。話が具体的でわかりやすく、質問にも的確に答えていただきました。
うれしい事に、講演の最中、出席者に新製品の「大吟醸」と「特別本醸造」の飲み比べ、試飲会が行われました。
これは、今年6月、新潟県佐渡地域が石川県能登地域と共に、日本で初めて「世界農業遺産」に認定された記念に「朱鷺と暮らす郷づくり認証米」で醸した、
特別限定酒です。口に含むと、コクとキレ味に微妙な味わいの違いがあります。こうして、口と耳からの酒学の勉強会となりました。

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講演の後は同会場にて、佐渡の地酒やビ-ルを酌み交わしながら、楽しい交流会や名刺交換会となりました。
佐渡朱鷺大学は、出席するたびに、佐渡の新しい取り組み方の実例と同時に「今の日本の環境問題にどのように取り組むか」を考えさせられる、
内容の深い公開講座です。次回は来年春、皆さん今後も大いに出席しましょう。

主任研究員 荒木隆一

Filed under: なんだかんだ — hojo 10:55

もの研特派員報告 佐渡朱鷺大学 第4回公開講座 「朱鷺と能の島 佐渡の魅力」

夏らしくない曇り空の7月29日(金)、表参道ネスパス新潟3F会議室に於いて、第4回佐渡朱鷺大学が開講されました。
最初に、主催者の「NPO法人さど」の代表理事、北條規氏(国指定重要文化財北條家)の挨拶。
自然界での「朱鷺2世」誕生が期待されていますが、今季7組が産卵したもの、夢は叶いませんでした。
一方嬉しい話題がありました。国連機関認定の「世界農業遺産」に新潟・佐渡市と石川・能登半島が決まりました。
佐渡市は「朱鷺と共に生きるための農薬を減らした農業」。能登半島は「伝統的な棚田」です。

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第1部 講演会「世界の環境戦略と佐渡の環境-これからの環境戦略を考える」
講師:古田尚也氏 IUCN(国際自然保護連合)プロジェクトオフィサ-
世界最初の国立公園、世界自然遺産のアメリカ・イエロ-スト-ン国立公園から始まる、世界の自然保護の必然性と
具体的な取り組み事例を、スライドを用いてわかりやすく説明されました。
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第2部 講演会「世阿弥配流の佐渡能の魅力」
講師:児玉信氏 石川県立音楽堂プロデュ-サ- 日本大学芸術学部演劇学科講師
なぜ、佐渡に能が伝統芸能として、今も深く地元民に根付いているのか、その歴史や、鬼太鼓・おけさ踊・春駒などの
民族芸能の展開をスライドとビデオで、いきいきと説明されました。
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第3部 佐渡朱鷺大学からのお知らせ
★新潟県朱鷺野生復帰支援事業(新潟県:遠藤氏) ★佐渡市(越前氏) ★佐渡観光協会(加藤氏)
佐渡の朱鷺をめぐるこれまでの取り組み実績や、佐渡朱鷺大学プレミアムツア-の案内などの報告・紹介がありました。

最後に主催者の「NPO法人さど」の事務局長、臼木悦生氏(佐渡大願寺住職)の挨拶にて終わりました。
今回は、佐渡の朱鷺の自然保護だけでなく、佐渡の伝統芸能である能を取り上げ、自然と文化の両方の側面から、
佐渡の魅力について講演した今までにない画期的な公開講座でした。

★講座の後「お食事処新潟食楽園」にて、佐渡の地酒を酌み交わしながら交流会が行われました。
私は、あるテ-ブルで佐渡出身の方々から、「佐渡能」が今も地元民に息づき、若い世代に伝えられている郷土芸能の
様子の具体的な話を聞き、先程の講演の発表と合わせて「これぞ、にっぽんを残そう!」だ、と感動を新たにしました。
日本中の各地域にこうした郷土芸能が、細々と伝えられていますが、大切な文化遺産として守り伝えて行きたいものです。

★佐渡朱鷺大学は、出席するたび新しい知識が学べるだけでなく「今の世の中に何が必要か」という事を考えさせられる公開講座です。
次回は秋に開催との話、皆さん大いに出席しましょう。

主任研究員 荒木隆一


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