日本の味・旬の味。《6月・お魚編》

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6月に釣りが解禁される【あゆ】はちょうどこの頃に旬を迎えます。同じ川の鮎でも、水がきれいで上質の付着藻類が育つ、上流域のものほど味が良いとされます。ちなみに天然鮎には脂肪量が少なく、養殖鮎には天然の2~3倍も含まれているのだそう。

日本の清流の代表的存在ですが、英語でも「AYU」とそのまま通じるほど、日本特有の魚です。古くは万葉集の時代に登場するなど、日本人に親しまれてきました。あゆの語源は諸説あり、古語で落ちるを意味する ”あゆる”と秋に上流から下流に落ちる(あゆる)魚という説、、愛すべき魚(可愛之魚)など。

鮎の食べ方にも各地方にさまざまあります。鵜飼で知られる岐阜県長良川地方では「アユ雑炊」「かがり焼き」、佐渡「石焼き」、京都「源平焼き」、奈良・吉野の「釣瓶寿司」(日本三大くされ寿司のひとつ)があります。また、琵琶湖近辺では「稚アユの踊り食い」があり、珍味とされています。

美しい姿と香り高い味わいに賞賛を集める鮎ですが、毎年高知県にて『利き鮎会』なるものが開催されています。この大会では全国の鮎自慢の川から持ち寄られた鮎の姿、香り、わた、身、総合の5項目で審査されます。

2009年は全国48河川から3119匹が出品され、見事グランプリに輝いたのは、岐阜県飛騨川水系の和良川の鮎。準グランプリには青森県・赤石川、新潟県・荒川、静岡県・気田川、岐阜県・和良川、愛知県・寒狭川、広島県・水内川、高知県・鏡川、富山県・神通川の7河川。旅の参考にぜひ。

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日本の味・旬の味。《6月・野菜編》

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一年中出回っている【にんにく】は、収穫時期を迎える6月から7月にかけてが旬。通常、販売されているのは温風乾燥させて余分な水分を飛ばしたもので、穫時期しか味わえない生のにんにくは、皮が薄く、みずみずしさと甘みがあります。しかし日持ちしないので、一般にはほとんど流通しません。

にんにくはすでに奈良時代に朝鮮を経て伝わっており、意外とその歴史は古いもの。にんにくの語源は、仏教用語の「忍辱」。“あらゆる困難に耐え忍ぶ”という意味で、僧侶が荒行に耐える体力作りに食したそうです。 

主な産地は青森県。国内生産量の約80%という圧倒的なシェアを誇ります。大玉で1片が大きく実がよくしまり、雪のような白さと品質の良さが特徴です。にんにくの生産が盛んな田子町では、にんにくを使った「にんにく焼酎」や「にんにくワイン」のほか、「にんにくソフトクリーム」も販売されています。

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日本の味・旬の味。《5月・お魚編》

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背びれが鶏のトサカによく似ているので漢字で「鶏魚」とも書けば、主に潮早い荒波の礁を棲みかとすることで「魚岬」、あるいは磯(いそ)と魚(き)がなまったともされる【いさき】。夏に向かって旬を迎えると濃厚な脂ノリと引き締まった身となり、臭みも少ないことからお刺身で食せばヘタな鯛よりも美味しいともいわれます。

特に脂が乗るのは背びれ下、皮下、腹部の身の薄い部分。ここをしっかり味わいたいもの。一方、水温が下がる秋~春では、脂が落ちて身はバサバサに。旬のハッキリした魚です。

食し方はお造りに煮物に焼物、蒸し物と幅広くありますが、お造り以外の食し方では骨に用心してください。その昔、イサキの骨がノドに刺さって死んだ鍛冶屋がいたことから、「鍛冶屋殺し」という異名を持ちます。

美味なる魚としてイサキは、長崎の小値賀島ではブランド魚「値賀咲(ちかさき)」として売り出されています。島間の潮の流れが非常に速いため、身がしっかりと締まっているのが特徴ですが、ブランド魚として認定されるために①400g以上である②うろこの状態が良い③魚の色が良いという条件をクリアしなければなりません。値賀咲として認められるのは、出荷量に対して1/3ほど。

もし釣りの機会があれば、ぜひともこの時期に狙いたい魚です。

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