日本の味・旬の味。《5月・野菜編》

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緑濃く、風薫る5月。この時期になれば、天気に恵まれると気温もグングン上昇。ビールを飲み干したくなるような、汗ばむ日も珍しくありません。

そんなビールのお供にふさわしい【そらまめ】は、5月から6月にかけて旬を迎えます。その形状から蚕豆、あるいは莢が空に向かって育つために、空豆とも書きます。主な産地は鹿児島県と千葉県。この2県で全国のおよそ半分の生産量を占めます。

たきこみご飯にしても、天ぷらにしても、そらまめきれいな色は食卓に彩りを添えてくれます。なお、香川県の讃岐地方では、そらまめを使った郷土料理として「しょうゆ豆」、「さわらの押し抜き寿司」があります。しょうゆ豆とは干したソラマメを炒って、漬けダレに一晩漬け込んだもの。さわらの押し抜き寿司は、さわらの漁場であり、春らしさの演出にそらまめが使われます。主にお祝い時に食されるものだそうです。

そらまめのおいしい期間は収穫して3日間だけ。さやのふくらみで豆の育ち具合がわかるので、3粒が揃ってふっくらしたものを選ぶのがポイントです。

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日本の味・旬の味。《4月・お魚編》

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サクラサク―なにかとお祝い事の多い4月。
魚の王様、【たい】もこの時期に旬を迎えます。

地上で桜が咲き誇るころから新緑までにかけて、
この時期の鯛を特に「桜鯛」あるいは「花見鯛」と呼びます。
色鮮やかなピンク色の美しさも見事ですが、冬の間に引き締まった身に、
産卵を目前に控えて栄養をたっぷりたくわえたことで
このうえない鯛のおいしさを味わえます。

高級魚の代名詞のような鯛ですが、
最近では養殖技術の高まりから、身近な魚になりつつあるようです。
特に、養殖真鯛の生産量では、愛媛県が日本一。
もともと瀬戸内の鯛は有名ですが、「鯛めし」のほか、
県内では鯛専門のお食事どころがそこかしこに見られます。

なお、タイ科の魚は13種程度しかいないのにも関わらず、
「鯛に似ている赤い魚、美しい魚、美味しい魚」の意で
タイにあやかろうと、「タイ」の名が付いた魚はなんと約200種もいるんだとか。

「名(な)は体(タイ)を表す」とは、お魚の世界にもいえそうです。

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日本の味・旬の味。《4月・野菜編》

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成長が早く、10日(旬内)で竹になるといわれるところから「筍」の字があてられた【たけのこ】。旬は4~5月とされ、旬が明確なことから、特に季節感を大事にする日本料理では春の味覚として使われます。主な生産地は福岡県、鹿児島県、熊本県の3県。平成19年の生産量はこの3県で国内の6割を占めました。昭和60年までは国産ものが輸入量を上回っていましたが、平成19年時には1:9の割合で圧倒的に輸入量が多くなっています。

たけのこの種類は意外と豊富で、なんと約70種類。一般的な食用たけのこは、孟宗竹(もうそうちく)の若芽のことをいいます。

【孟宗竹(もうそうちく)】九州・四国から東北南部まで採れますが、土地により品質に差が生じ、味の良さで定評があるのは京都産のものです。大型で肉厚、実は白く柔らかで、えぐみも少なく、甘味を含んだ独特のうまみと、歯ごたえがあります。吸い物や和え物、煮物、揚げ物などに利用されます。
【淡竹(はちく)】5月頃、九州や関西地方から出回ってきます。原産は中国。皮の色は赤紫色、茎は淡い緑色で白い粉をふきます。肉質が薄く、味はえぐみが少なく淡白。
【真竹(まだけ)】関西、特に京都に多い種。皮は毛が無く、黒い斑点があり、民芸品や包装用に用いられます。肉質はやや硬めで、あくが強く、苦味もあります。
【根曲がり竹(ねまがりたけ)】(別名)五三竹(ごさんちく)、千島笹(ちしまざさ)、篠竹(すすだけ)
日本特産の笹で、東北、北海道などが主な産地。地方により呼び名がさまざまです。太さは1~2cm、丈は5~15cmぐらいで根元はやや固いですが、中身は白くて独特の風味と歯ごたえが特徴。市場に出回るものはほとんどがハウス栽培です。
 
春の行楽として、タケノコ掘りも楽しんではいかがでしょうか。トンボなどと呼ばれる先端の毛を目印に、すっぽり土の中にいる柔らかいタケノコを探すのがポイントだそうです。

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