日本の味・旬の味。《12月・お魚編》

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字面から想像力で読めそうな【ヒラメ】。俗に「左ヒラメの右カレイ」というように、大半の種類のヒラメの目は左側についています。旬は10月より1月にかけてで、12月と1月がもっともおいしく、この時期のものは「寒鮃」とも呼ばれます。全国でもヒラメの生産量が高い青森県では県の魚に指定されています。

高級魚でもあるヒラメは、お刺身や昆布〆で食べるのが一般的ですが、湯がいた肝をしょうゆで食べるのも絶品だそう。また、カレイと同様に「えんがわ」が美味です。

ヒラメはその特徴的な形に加え、体表を保護色に変えることができます。そのスピードはわずか15~20分ともいわれます。そのメカニズムは目から取り込む光に反応するというもので、生息する海底の砂地や周囲にあわせて変化するのはもちろん、水槽の色にも合わせても変わるんだとか。海のカメレオンと呼ばれる所以です。

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日本の味・旬の味。《11月・野菜編》

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根や茎、葉まですべてがおいしい便利野菜【かぶ】。頭を意味する「かぶり」、根を意味する「株」など、語源には諸説あります。その歴史は古く、すでに古事記にカブのことが述べられていました。旬は10~12月が一般的な小カブの旬で、生産量では千葉県が圧倒的なシェアを誇ります。

お味噌汁やシチューなどの汁物に、あるいは漬物に利用されます。金沢青かぶとブリを麹漬けにした金沢名物の「かぶら寿司」、聖護院かぶの生産時期にあわせた京都の三大漬物のひとつ「千枚漬け」が、冬の味覚として有名です。

カブは国内でもその品種は80とも100ともいわれ、種類は非常に多彩。サイズは大中小から、色は赤白まで存在しています。

さて、カブの興味深い事実を発見した人がいました。それは植物学者の中尾佐助氏。愛知-岐阜-福井を結ぶラインで、いわゆる「天下分け目の関が原」と同じくして、カブの特徴が分かれているというのです。この“かぶらライン”を境に、東は西洋型で寒さに強い品種が多く、西の日本型は気温に敏感でとう立ちしやすい品種が多いのだそうです。

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独立行政法人農畜産業振興機構「野菜図鑑」より

【主なかぶの種類】

金町小かぶ:最も生産量が多い代表品種。根は白く柔らか。
聖護院かぶ:日本最大とされ、大きいものは重さ5kgに。
天王寺かぶ:西日本で利用される代表的な中型種。
大野紅かぶ:北海道で江戸期から栽培されてきた、アジア系カブ 。
温海かぶ:かのかぶとも。山形県鶴岡市温海地区の特産で、焼畑栽培が特徴の赤カブ。
日野菜かぶ:滋賀県特産で、ダイコンのように細長く、首が赤い。

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日本の味・旬の味。《11月・お魚編》

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 【ハタハタ】と読みます。11月から12月に旬を迎えます。産地では秋田が有名で、県の魚として指定されています。魚へんに神と書くのは、冬の日本海は雷(神鳴り)が多く、この時期の沿岸に多く集まることによるようです。一見、難読漢字のようですが、いわれを知ると納得できますね。

焼いて食べる以外に秋田では、長時間熟成させ、野菜と一緒に漬け込んだ「はたはた寿司」が名物。また、魚醤としての「しょっつる」の原料でもあり、江戸時代より万能調味料として活躍してきました。

実はこのハタハタ、乱獲によって90年代初頭には絶滅の危機にありました。そこを乗り切ったのは、地元漁師たちによる3年間にわたる自主的な全面禁漁でした。これは漁師たちが自主的に規制をした世界で初めての、そして唯一のケースといわれています。
その後、地元の水産振興センターの研究者による生態解明と養殖技術の進展にあわせ、資源管理型漁業へと転換。こうして91年には70tだったのが2003年には3000tにまで回復したのです。郷土の味、食材としての「ハタハタ」はこうして地元の人によって守られたのでした。

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