北海道夕張市。
この名を聞いて思い浮かべるのは何でしょうか。
かつての炭鉱の町、夕張メロン、大ヒット映画「幸福の黄色いハンカチ」(昭和52年・山田洋二監督)…といったところでしょう。
しかし最近では財政破綻というマイナスの話題ですっかり“おちぶれてしまった町”というイメージが拭えません。
そんな夕張市がいま「夕張がんばろうキャンペイン」を実施中。
とりわけ地元のお菓子メーカーが開発した「石炭シュ-クリ-ム」が話題なのです。
なにせこの見た目のインパクト。黒く、ゴツゴツしてまさに石炭そのもの。
かたそうだし、一体、どんな味がするのだろう?と試食してみると…
それが「見た目と違い、クリ-ミ-でなかなかおいしい」んです。
どうやら炭坑時代の夕張の賑わいを取り戻す願いを込めて、石炭そのものを見た目に忠実に再現するために、竹炭を入れることでシューを黒くさせたのだそう。
夕張が炭鉱の町として発展したのは明治初期までさかのぼります。しかし、昭和30年代以降エネルギ-革命が進行、平成2年にはすべての鉱山が閉山しました。
市では観光施設などを作り、観光客を呼ぼうとしたものの、近年の観光需要の下火で
観光客が来ない。そうこうするうちに平成19年財政破綻に陥ってしまった、というのがかいつまんだ歴史です。
今、再び夕張メロンが脚光を浴び実績を上げ、さらにはこうした現状になんとかしなくてはと危機感を感じ、町起こしに民間の食品会社が立ち上がりご当地グルメをいろいろと企画。その代表がこの「石炭シュ-クリ-ム」というわけなのです。すでにテレビでも取り上げられ、売り上げも絶好調。
日本おみやげアカデミ-賞、地域文化部門、最優秀賞受賞という花も添えられました。
しかしそれでも北海道発のお菓子とくれば、1位=花畑牧場生キャラメル 2位=じゃがポックル 3位=白い恋人 4位=ルタオのお菓子 5位ロイズ生チョコレ-トというのが定番です。
こうした甘くかわいい女の子ウケするものとはまるで正反対の、
男っぽさ全開の「石炭シュクリ-ム」に、ぜひ頑張ってほしいものです。
夕張では、さらに「石炭カレ-」「石炭ラ-メン」「石炭飴」など石炭を中心にご当地土産として販売しています。かつてにぎわいを見せながら苦境に陥った夕張の復活こそ、
必ずや町おこしの目標になるに違いありません。
がんばれ!夕張!!
ものづくり研究所 特派員 荒木隆一