日本の味・旬の味。《5月・お魚編》

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背びれが鶏のトサカによく似ているので漢字で「鶏魚」とも書けば、主に潮早い荒波の礁を棲みかとすることで「魚岬」、あるいは磯(いそ)と魚(き)がなまったともされる【いさき】。夏に向かって旬を迎えると濃厚な脂ノリと引き締まった身となり、臭みも少ないことからお刺身で食せばヘタな鯛よりも美味しいともいわれます。

特に脂が乗るのは背びれ下、皮下、腹部の身の薄い部分。ここをしっかり味わいたいもの。一方、水温が下がる秋~春では、脂が落ちて身はバサバサに。旬のハッキリした魚です。

食し方はお造りに煮物に焼物、蒸し物と幅広くありますが、お造り以外の食し方では骨に用心してください。その昔、イサキの骨がノドに刺さって死んだ鍛冶屋がいたことから、「鍛冶屋殺し」という異名を持ちます。

美味なる魚としてイサキは、長崎の小値賀島ではブランド魚「値賀咲(ちかさき)」として売り出されています。島間の潮の流れが非常に速いため、身がしっかりと締まっているのが特徴ですが、ブランド魚として認定されるために①400g以上である②うろこの状態が良い③魚の色が良いという条件をクリアしなければなりません。値賀咲として認められるのは、出荷量に対して1/3ほど。

もし釣りの機会があれば、ぜひともこの時期に狙いたい魚です。

Filed under: 食文化再発見の旅 — nakahashi 15:36  Comments (0)