もの研特派員報告 森の駅:第4回市民フォ-ラム「多摩森林科学園」
2011年11月23日(水)高尾の森「多摩森林科学園」にて、「森の駅」市民フォ-ラムが
開かれました。
内容は、「知られざる憩いの森、お宝スポット散策」と、「日本大学、桜井尚武教授
による森の講義」です。
私は、武蔵野に長年住んでいながら「多摩森林科学園」を知りませんでした。
家内に聞くと、行った事があり「結構山歩きだから、登山の支度がイイネ」との話。
あわてて登山靴とリュックを取り出し用意しました。
当日、中央線高尾駅で降り、北口から高尾街道のゆるやかな坂道を行くと、左手に古
戦場が見えました。ここは八王子の廿里(とどり)古戦場、今から約440年前、小田原城
攻めの武田信玄の軍勢を、滝山城主北條氏照の軍勢が迎え打った古戦場、との案内板。
この一角に目的の「多摩森林科学園」があります。駅からゆっくり歩いて10分。道の
真向かいは宮内庁の多摩御陵の森です。
このあたり一帯はうっそうとした山林です。
2階立て木造建築は「森の科学館」と呼ばれ、一般の人達にわかりやすく、園内の樹木
や動植物を、剥製や映写で詳しく説明、2階の講義室では、月1回森林講座が開かれて
いるようです。
「多摩森林科学園」は、大正10年(1921)帝室林野管理局林業試験場として発足。
昭和63年「独立行政法人森林総合研究所、多摩森林科学園」と改称。
現在は、筑波研究学園都市にある「森林総合研究所」の一支社として、サクラや樹木
・動植物の生態系の研究と同時に、都市近郊の貴重な森林資源を守っています。
平成4年(1992)より有料で一般公開、サクラ保存林と樹木園を楽しむ事が出来ます。
総面積は56ヘクタ―ル、なんと日比谷公園の3,5倍もありますから大きいですね。
園内の構成は「森の科学館」・「サクラ保存林」・「樹木園」です。
特筆すべきは、サクラの保存林。遺伝資源を保存のため、全国から集められた約1,500
本のサクラが次々と咲きます。珍しい野生種のカンヒザクラや・チョウジザクラ・マメ
ザクラなど、凝り出したらやみつきになりそうです。
「しめた!来年のお花見はココに決めた!」と喜んだら、お酒の持ち込み飲酒は禁止
でした。食事はベンチでとの事。サクラマニアの皆さんは、よくご存知で4月頃は毎年
大変な入園者だそうです。
さて、本題にもどります。「森の駅推進協議会」は日本の森を元気にするための
市民活動で、森の現状を知り、何をすれば良いか考え様々な活動を展開しています。
今回の参加者は約50名。快晴の祭日、お子様連れやご夫婦の方も数組おりました。
第1部 探索会「知られざる憩いの森、お宝スポット散策」
観察会は各グル―プに別れ、講師の説明を聞きながら、ていねいに樹木の観察をして
行きました。樹木園は、巨木のメタセコイア・スダジイ・ブナ・クヌギ・タブノキなど
各種。晩秋を彩る紅葉が輝いていました。
森の中には、ムササビ・アナグマ・日本リス・モリアオガエルなどの動物や、野鳥・
昆虫も豊富です。
知らない樹木も、解説を聞きながら見ていくと楽しく理解でき、身近に感じられます。
サクラの木が多く、山道はサクラモミジの枯れ葉で埋まり、カサカサ響く音を楽しみ
ながら歩きました。キチンと整備されているコ-スですが、かなり登り降りの起伏が
あり、丘陵地帯の森林として景色が豊かで、それとなく古戦場の名残りも感じられま
した。
第2部 講演「日本大学、桜井尚武教授による森の講義」
桜井教授は森林学の権威、森林博士です。
講演は映写を使いながら、日本の森林資源から、輸入木材、今の日本の森林資源の現状
まで、スライドを使いながら詳しく説明されました。
講演の後、今日の出席者の自己紹介。最後に「市民フォ-ラム」の幹事の挨拶で終了し
ました。「森林総合研究所」の所長さんは、非番にもかかわらず出席されて、施設の説
明などをいただきました。ありがとうございました。
ここは森林の研究林。知らなかった新しい発見がたくさんありました。しかも、全国の
珍しいサクラの名所。4月混んでいても、又訪れてみたいと思います。
帰り道、「森の駅」の活動に感謝しました。なかなかきっかけがないと行かない場所で
すが、参加して学習する事で、森林への関心と知識が大いに拡がりました。
踏みしみて桜紅葉の響く路
根を横に伸ばす桜の大樹かな 荒木春雪子
主任研究員 荒木隆一