【特派員レポートVol.8】不思議な「魔鏡」

秋のギフトショーと話はちょっと前にさかのぼります。
今年も盛大に開かれ、出展社数も約2,500社ありました。今回は、せっかく面白いのにまだ日の目を見ない、珍しいものを探すのがテーマ。まさに宝探しに近い感覚です。

会場も広いので、歩き回ると本当に棒のようになります。
でもお宝に出会った瞬間に、ワクワク感で疲れも吹き飛んでしまうんですよ。

それでは今回出会ったお宝のひとつをご紹介しましょう。

みなさん、不思議な「魔鏡」をご存じですか?
「魔鏡」とは、一見すると普通の丸形の鏡なんですが、これに太陽などの光を反射させると、映った画面に絵や文字などが、薄くボンヤリと妖しげに現れてくるのです。

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私自身はすでに上野の東京博物館特別展示の巨大な「魔鏡」を見学したことはあるのですが、改めて何も描かれていない魔境から映し出される絵や文字に、…アラマァ。なんで?どうして?と不思議さで口がポッカリ空いてしまいました。

タネを明かしてしまうと、鏡の面に、肉眼ではわからない微細な凹凸があります。
丁度平面鏡の中に、絵や文字として凹面鏡や凸面鏡が組み込まれており、これが光に当たると凸面の部分は光が散乱して影になり、凹面の部分は収束して光のような画像になるというわけです。…わかりましたか?

魔境の正確な歴史はわかりませんが、中国から伝来したものです。日本では神社や寺院の仏具として青銅鏡が使われてきました。硝子の魔鏡が制作されたのは、江戸時代後期から。なお、隠れキリシタンは魔境の技術を応用した「隠れ切支丹鏡」を用いてキリスト教の十字架やマリア像などを浮かび上がらせて崇拝していました。

今回、ギフトショ-の出展は、制作グル-プ「影見工房」代表(有)コウノの出品。
影見工房の制作技術者、大澤さん(写真)に話を伺うと「北斎の絵ぐらいまで細かく彫刻出来るんですよ」とのこと。アイデアによっては、相当面白いものが作れるようです。

ちなみに携帯ストラップに付ける可愛い鏡が展示されていました。
さて、どんな絵や文字を浮かび上がらせれば面白いだろう?

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形としては置いておけないが、映像としては欲しい…
そんな思いに一番あてはまったのが、昔でいえば、「隠れ切支丹鏡」だったのかもしれません。ならば今の時代には?と考えると、日本の「狭い住宅事情」にヒントがあるのでしょうか…

しかしブ-スでは「魔鏡」と書いてあっても、知らない人は素通り。知っている
人だけがこのブ-スに立ち寄っているだけと。ちょっともったいない気がしました。
魔鏡で宣伝するなど、ひと工夫すると面白かったかもしれません。

ものづくり研究所 主任研究員 荒木隆一

Filed under: 特派員レポート — nakahashi 10:17  Comments (0)