日本の味・旬の味。《11月・野菜編》

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根や茎、葉まですべてがおいしい便利野菜【かぶ】。頭を意味する「かぶり」、根を意味する「株」など、語源には諸説あります。その歴史は古く、すでに古事記にカブのことが述べられていました。旬は10~12月が一般的な小カブの旬で、生産量では千葉県が圧倒的なシェアを誇ります。

お味噌汁やシチューなどの汁物に、あるいは漬物に利用されます。金沢青かぶとブリを麹漬けにした金沢名物の「かぶら寿司」、聖護院かぶの生産時期にあわせた京都の三大漬物のひとつ「千枚漬け」が、冬の味覚として有名です。

カブは国内でもその品種は80とも100ともいわれ、種類は非常に多彩。サイズは大中小から、色は赤白まで存在しています。

さて、カブの興味深い事実を発見した人がいました。それは植物学者の中尾佐助氏。愛知-岐阜-福井を結ぶラインで、いわゆる「天下分け目の関が原」と同じくして、カブの特徴が分かれているというのです。この“かぶらライン”を境に、東は西洋型で寒さに強い品種が多く、西の日本型は気温に敏感でとう立ちしやすい品種が多いのだそうです。

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独立行政法人農畜産業振興機構「野菜図鑑」より

【主なかぶの種類】

金町小かぶ:最も生産量が多い代表品種。根は白く柔らか。
聖護院かぶ:日本最大とされ、大きいものは重さ5kgに。
天王寺かぶ:西日本で利用される代表的な中型種。
大野紅かぶ:北海道で江戸期から栽培されてきた、アジア系カブ 。
温海かぶ:かのかぶとも。山形県鶴岡市温海地区の特産で、焼畑栽培が特徴の赤カブ。
日野菜かぶ:滋賀県特産で、ダイコンのように細長く、首が赤い。

Filed under: 食文化再発見の旅 — nakahashi 10:30  Comments (0)