日本の味・旬の味。《9月・野菜編》

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秋の味覚の王者といえば香り高い【まつたけ】。
万葉集にも松茸が詠まれるほか、
吉田兼好は『徒然草』で鯉や雉と並ぶ三大珍味のひとつに挙げ、
花見でも知られる豊臣秀吉は松茸狩りも楽しんでいたようです。

しかしその松茸は市場の95%が外国産。
1941年の1万2000tをピークに、
近年は100トン前後にまで落ち込みました。

その減少の原因は、松茸と共生関係にあるアカマツ林の減少、
マツタケ山の老齢化が考えられるほか、
アカマツ林を手入れする人がいないためとも考えられています。
高度成長期には宅地やゴルフ場開発が行なわれ、
また、山村の生活様式の変化、輸入外材の増加などに伴う
林業従事者の流出という複数の原因が
マツタケの生産量の減少に追い討ちをかけているのです。

生活の変化や山の手入れの不備から生産量が落ち込む、という点で
春先の筍の運命に通じるものがあります。

なお、アカマツがあればどこにでも生えるというわけでもなく、
土質の条件も重なければ松茸は生えません。
そうしたこともあり、主な生産地も長野県、広島県、岡山県、岩手県、京都府
ついで兵庫県、岐阜県、山口県と偏りが生じます。

日本産は多く9月10月に出まわり、海外産は中国産が6月から10月まで、
アメリカ産やカナダ産は9月、10月を過ぎるとトルコやモロッコ産が登場します。

Filed under: 食文化再発見の旅 — nakahashi 14:29  Comments (0)