人口570人の村から生まれたヒット商品「じゃばら」

紀伊半島の南東部に周囲が三重県と奈良県に囲まれた全国で唯一の飛び地の村、
北山村があります。和歌山県の村でありながら、和歌山県の外にあるというそんな村に、一本だけ変わった実のなる木がありました。

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すっぱいのにまろやかで、おいしいけれど実に変わったみかん。
ゆずでもすだちでもなく、味わったことのない風味なのです。
専門家による調査の結果、それは世界にも日本のほかのどこにもない
北山村にしかない品種ということが判明したのです。

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「じゃばら」と名づけられたそのみかんは、その後栽培の拡大をはじめ、すでに過疎化が進んでいた北山村を救うための特産物として育てる活動が進められていきました。

商品化が進み、当初は地元や近隣での卸販売を行っていたものの、交通の便が悪い飛び地では、PRや販売方法に限界がありました。そこからネットショップの出店と販売手法を変えたのです。
するとその後、複数のお客さんから「花粉症に効いた」という声を受けました。これは予想外の声であり、実際に効果があるのか花粉症の人に対して1000人のモニター募集企画を行ったそうです。

モニター企画では応募者1万人という大反響となり、雑誌やテレビでの取材が多く集まりました。結果として「じゃばら」と北山村の知名度を押し上げ、発売から2年で売り上げは1億円を突破というヒット商品になったのです。

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昨年には岐阜大学の医学部によって「じゃばら」の花粉症に対する効果を発表、さらにモニター募集企画を行うなどますますその注目度は高め、ネットショップでのランキング1位になるなどPRとして一定の効果を引き出したといるといえるでしょう。

北山村では、ネットショップへの出店以外にも自治体運営初のブログポータルサイトを開いて観光情報など積極的に地域情報を発信するなど、ネットの強みを生かした宣伝の工夫が光ります。

かつては600年もの間、林業と筏流しによって守られてきた北山村の生活基盤。
しかし昭和30年代になるとエネルギー需要の増加からダム建設が行われ、それまでの生活基盤を失った村は、以降過疎化の問題を抱え続けていました。
「他にはない」オンリーワンの地域資源「じゃばら」に希望を見出し、新しい産業の活性化を切り開いた北山村の努力と工夫は、成功のモデルケースとして参考になるのではないでしょうか。

 写真:じゃばら村センター提供
 参考:北山村公式サイト http://www.vill.kitayama.wakayama.jp/index.html
    じゃばら販売サイト   http://www.rakuten.co.jp/jabara/index.html
   (じゃばら村センター)

Filed under: なんだかんだ — nakahashi 10:25  Comments (0)