もの研特派員報告「第2回佐渡朱鷺大学」が開講

昨年11月に引き続き、3月16日(火)に「第2回佐渡朱鷺大学公開プレ講座」がネスパス新潟にて開講しました。今回のテーマは「佐渡島の生物多様性保全への取組み」です。60名強の参加者がありました。

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佐渡朱鷺大学とは、佐渡島で取り組んでいる天然記念鳥「朱鷺」の生育観察を柱に、
里山の自然環境を考えて、朱鷺の来る自然の田んぼで作った「朱鷺米」作りの
実践報告と、それを島起こしに拡げていこうとする、自主的な市民大学です。

主催者の「NPO法人さど」の代表理事、
北條規氏(株式会社ものづくり研究所、代表取締役)の挨拶にはじまり、
第1部で環境省の岩浅有記氏による「生物多様性と環境を中心とした経済戦略」の講演
第2部で朱鷺と暮らす郷づくり推進協議会(佐渡市)渡辺竜五係長による
「佐渡市の生物多様性の取組み」の講演
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第3部は、パネリスト 古田尚也氏(IUCN(国際自然保護連合)・シニアプロジェクトオフィサー)、織田竜輔氏(月刊『環境ビジネス』 編集部)を迎え、「企業による生物多様性の取組みの殿状と可能性」についてパネルディスカッションが行われました。

講演後、ネスパス新潟館内にある「お食事処 新潟食楽園」にて交流会も行われました。

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もっと身近に、東京で暮らす私達が普段できることは何だろうか。
講演会の発表の中でヒントがあったように思えます。

★佐渡の農家の方々が育てた「朱鷺米」を食べて、佐渡と朱鷺の取組みに関心を持つ。
★旬の食べ物を美味しく食べる。
★野生の野鳥や、草花・樹木など身近な植物に関心を持つ。
この他、できることはいろいろとありそうです。

全国各地でもさまざまなこうした取り組みが見られます。
例えば兵庫県豊岡市ではコウノトリ野生復帰の取組み、
コウノトリが育むお米と農法、コウノトリの郷公園など…
いずれにしても、「絶滅寸前の種の保存を具体的に考えながら、
環境の保全と地域経済がうまく循環する仕組み作り」というコンセプトは、
とてもわかりやすい目標です。それをどう達成していくのか。
その難しさは普遍の課題といえそうです。

                            主任研究員 荒木隆一

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【建築遺産考Vol.4】近代建築遺産の転身術①

その意匠を遺しつつ、新たなオーナーを迎えて第二の人生を踏み出す
近代建築遺産も数多くあります。「近代遺産の転身術」では、
こうした遺産たちにスポットを当て、ランダムにご紹介していきます。

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(足利市ホームページより)

旧足利模範撚糸工場→スポーツクラブへ(栃木県)
1903年(明治36年)設立
1999年(平成11年)国の有形文化財に指定

全国各地に建設された模範撚糸工場の中で唯一現存する建築物。
明治政府の輸出絹織物振興の国策によって設立された、
足利模範撚糸合資会社の洋風工場建築です。
外壁は大谷石積、控壁付きとし、半円アーチ付きの縦長窓が連なり、
鋸屋根の北面に大きな明かり窓を設けています。

現在は一部を改築してスポーツクラブとして活用。
天井の高さを生かした開放感が好評を呼びつつ、建物の保存とまちづくりに
役立っています。活用例としてはめずらしい例といえます。

このシリーズでは指定文化財を問わず、近代を中心に後世に残すべき日本の建築物の歴史と価値を紹介しながら、保護活動のあり方、再生への道すじを探っていきます。

Filed under: 残そう原風景・文化 — nakahashi 10:08  Comments (0)

もの研展示会情報「第38回ホテル・レストラン・ショ-」-2

2月23~26日:東京ビッグサイト

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雪のかまくらを押しつぶしたような、不思議な形の白い瀬戸物たち。
穴の中には小さなアルコ-ルランプが灯っていて、上ではス-プが沸いています。
不思議そうに通るお客様や立ち止まって見るお客様、
この器たち、かなりの注目を浴びていました。
しかもお皿もまん丸ではなく、どれも一辺が切り取られたような形。
不思議に思い、出展者である愛知県陶磁器工業共同組合の方にたずねました。

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「新しい重箱の提案です。従来の重箱といえば四角い形の漆塗りの箱ですが、瀬戸焼だからこそできる特別感を求めて試行錯誤し、このシリ-ズを誕生させました。特別な日の料理を引き立たせるテ-ブルウェアは、様々な思い出を甦らせるものですよ」

このシリ-ズは、引き出し重(大)と(中)の2種類あり、
(大)の中に(中)がしまえる入れ子になっています。
さらにお皿がその中に収まるように設計されているという、アイディアに感心。
少しカ-ブしたフリ-カップや、箸置きまでも創られています。

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「実際に料理を大と小の乗せて、更に小皿を引き出したように並べて盛りつけると
一体感があって良いですよ」とのこと。

一式のセット料理がこのセットで並べられるとは、いやはや脱帽です。
肉やサラダのような洋食の方が似合いそうに思えました。
器のデザインで料理の見栄えもグッと変わるもの。器の力は偉大ですね。

日本の器は長い歴史と伝統をもっていますが、こうした
新しい提案、その時代のライフスタイルに応じた変化も
積極的に行うことが大切だと思います。

   新しきお重灯して春の暮   春雪子
                             主任研究員 荒木隆一

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