「和紙と茶と」二人の和紙展

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島根、斐伊川和紙の里で七代目を継承する和紙職人の井谷伸次と経師の新しい可能性を探求する江戸表具師の鈴木光典のコラボ展に行きました。場所は四国高松の家具屋「桜製作所」銀座桜ギャラリー。世界に誇る日本の和紙の作り手と使い手の二人が新たな可能性を提案しています。代表作が茶室「桜庵」。二畳の組立式茶室のキットで、壁画に斐伊川和紙さびどろ紙を使用。極上の和紙を江戸経師の技で仕立てた美しい茶室。書斎にも昼寝場所にも使える。部屋in部屋です。3畳の「結界」もあります。気になるお値段は173万円。

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もの研特派員報告 茂田井宿(もたいしゅく)と、大澤酒造の銘酒「明鏡止水」

「シブ-イ宿場町なら、茂田井宿が絶対おすすめだよ!」
佐久平駅の観光案内のおじさんに教えてもらった茂田井宿は、
訪れるまで名前すら知りませんでした。
茂田井宿は中山道の望月宿と、隣りの芦田宿の間の
「間の宿」(あいのしゅく)として栄えた町。
北は浅間山、南に蓼科山を望む、田畑の拡がる丘陵地帯です。

ゆるやかな坂道に沿って酒蔵が続き、江戸時代の風情がそのまま残ります。
不思議なことに人が全く歩いておらず、実に静まりかえった町で
山田洋次監督の「たそがれ清兵衛」のロケ地にもなったそうです。

私は旅から帰ると、早速、型絵の制作に取り掛かり、
6月の「美工展」に「茂田井宿」を出品しました。
作品2点のうち、坂道の石垣に沿って続く作品が大澤酒造の酒蔵です。

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当地は、日本酒ファンにはうれしい二大酒造元、
大澤酒造と武重本家酒造があります。有名な銘柄は大澤酒造の「明鏡止水」。
全国新酒鑑評会で毎年授賞する銘酒ですが、訪ねると試飲させてもらいました。

仕込み水は蓼科山の伏流水。磨き抜かれたキリリとした喉越しの良い地酒です。
「明鏡止水」という商標も実に見事。「荘子」の論語「徳充符」にもありますが、
意味は「曇り無き鏡と静かな水、何のわだかまりも無く、澄み切った静かな心の状態」です。

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大澤酒造の創業は、元禄2年(1689)に溯ります。
「明鏡止水」が生まれて満15年を迎えますが、地産地消の酒とのこともあって、
長野県の限られたお店にしか販売していないそうです。
東京でも最近、こだわりの地酒を扱う一部の酒屋さんで販売されるようになり
私も宝探しのごとく、あちこちの酒屋さんを探しまわりました。

なお大澤酒造は、酒蔵を利用して民俗資料館と山林美術館も併催しています。
こちらも見応えあります。「茂田井宿」、ぜひ一度おすすめのシブ~イ宿場町です。

           酒蔵の坂をくだりて新走り    荒木春雪子

◆「明鏡止水」のお値段
大吟醸720ml=¥2,625(写真の品)・純米大吟醸720ml=¥3,150
純米吟醸1.8l=¥2,751・垂氷1.8l=2,520・勢起1.8l=¥3,780
                          

                                  主任研究員 荒木隆一

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日本の味・旬の味。《7月・魚編-1》

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姿はうなぎのようでいて、目の後ろまで裂けた口に鋭い歯がズラリ。
ちょっといかつい顔の【はも】は、梅雨の雨を飲んで旨くなると言われ、
梅雨の明ける7月に脂がのり始めます。

「はも」の名も、その鋭く大きな口で咬み付いてくることから
「食む(はむ)」が変化したという説もあるほど、取り扱い注意の魚。
しかしその上品な味わいは一級品。高級食材として扱われ、
京都では祇園祭、大阪では天神祭りに欠かせない魚でもあります。

そしてハモは関西と関東の文化の違いが表れる食材のひとつ。
高級食材ではありながら、関西ではスーパーでも買える身近な存在です。
庶民的なお寿司屋さんでも見かけますが、関東ではなかなかお目にかかれません。
消費量は関西の1/10しかないと言われています。

その違いが生まれる理由として、本州の中部から南側を主な生息地としており、
明石沖や瀬戸内海でよく獲れても、関東地方以北と日本海には少ない
ということが考えられます。

さて、上品かつ美しい味わいをいただくにも、
素人がハモを捌くことはなかなか難しいようです。
ハモには長くて硬い小骨が非常に多く、「骨切り」という技術が必要で
板前さんたちはハモの骨切り専用包丁を使って処理します。

身をつぶして食感を落とさないためにも、
皮を切らないよう細かい切り込みを入れていくというもの。
「一寸につき26筋」の刃を入れられるようになれば一人前なのだそう。
ハモの値段には、こうした技術料が含まれているのです。

それにしても、水揚げが多くない京都でなぜハモ文化が発達したのでしょうか。
ハモの話は次回に続きます。

Filed under: 食文化再発見の旅 — nakahashi 16:15  Comments (0)